Surfaces(2015)
髙橋翔太
- 書き記したものを遠距離間で共有する一対の表面
- メッセージ形式とは異なるコミュニケーションのあり方を示す
情報通信技術の発展によって、私たちは情報伝達における距離と時間の制約を克服してきた。今や、どこでも・いつでも・誰とでも、瞬時に豊かなコミュニケーションを取ることができる。その一方で、場所や状況を問わず通知されることで直面の活動が中断されたり、目の前に居る人をなおざりにしながら情報通信を介したやりとりに集中する様子が見られる。また、そういった情報通信機器は、汎用性を高めるために、文房具のような明快な使用性を犠牲にしている。使っている間に心理的疲労を起こしたり、使いこなすことに対する不安感に苛まれることもあるだろう。
〈Surfaces〉は、相手と書き記したものを共有する表面である。タッチパネルにタッチペンで筆記する機能を持った一対の端末間で、筆記内容をリアルタイムに同期する。情報通信技術の利便性を保ちながら、さっと書いたメモを相手に渡すような、何気ないコミュニケーションを促す。
伝達事項を付箋に書いて相手の机に貼ったり、家族間の連絡を居間の伝言板に書くような、生活の中にある気軽な情報伝達の心地よさ。そのあり方を取り入れることで、情報通信を介しても、相手と緩やかに通じ合うことができる。