natural clockの外観

natural clock

髙橋翔太

今、何時だろう。私たちは、明るい時も暗い時も、当たり前のように時間という数値を気にかけ、計算しながら行動している。管理しやすさを理由に、自分自身の行動を不自然に刻まれた数値情報に還元してきたのだ。しかし、本来はそうではなく、環境的情報や感覚的状況といった、その場その時の気配で判断していた。外で遊んでいた子供達が、暗くなると家に帰っていたように…。

〈natural clock〉は、数値ではない時間概念をもたらす、新しい時計のかたちである。静止している塊が不安定に傾き始める。釣り合いが取れた時、重力に引かれるように転がり元通りに静止する。そして、再びまた傾き始める——この周期運動は、その人のある予定に与えられた時間に紐付く。ふとした気配で、あとどれくらいの時間があるのかを知らせる。

一日の中での時刻が知りたいときは、外の空気に触れ、空を眺める。段々と暖かくなり始め、陽も長くなってきた気がする。それなら、もうそろそろいい時間だろう——そうして、メタ的に書き換えられた空間の意味は本来の姿に戻り、私たちの身体感覚はもう一度自然と結びつく。

natural clockの外観

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