LIKE A WINDのイメージ

LIKE A WIND(2015)

吉田直人

今日、情報の表現手法はディスプレイやスクリーンへの映像描画に傾倒している。これは合理的かつ経済的な手法といえるが、情報の内容に関わらず表現手法は単一のため、人が受ける感性領域における質的な面は必ずしも優れているとはいえない。

〈LIKE A WIND〉は、現象の固有性を反映した、情報の物理的——実在的・身体的な表現伝達手法の提案を目的として制作した。装置によって表現する現象は、記号論(構造主義)におけるレトリック(修辞法)、つまり言語イメージに基づいて設定した。レトリックとは「…のように~する」等、二つの事象の間に心情的な一致を見出し、ある言い回しとして表す言語表現技術・機能である。

ここでは、“風のように走る、風のように去る”などのレトリックに基づき、表現手法としての「風」に対して心情的に一致する現象を「人の存在や動き」と設定した。

用途の一つとして遠隔地に暮らす家族のモニタリングを想定する。対象とする人の活動状況が、風にたなびく布の振舞いによって比喩される。

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