cosmo
組地翔太
- 天文現象に呼応して佇まいを変える燈火
- 自然な文脈で夜空へいざなう
木の葉がなびく様子を窓越しに眺め思う — ああ今日は幾分風が強いのだな
土手が突如一斉に赤色に染まり思う — ああもう夏も終わりお彼岸の時期だな
吐く息の白さを見て思う — ああ今日はやっぱりいつもより冷え込んでるな
普段の生活の中で、私たちは自然から多くの文脈を読み取り、その先にある情報を取得している。とても自然な行為として。この自然な文脈のあり方は、デジタルを介在した情報にも転用できるのではないだろうか。例えば人間固有の本能や知覚能力だけでは知り得ない、宇宙の現象にも。
〈cosmo〉は、天体情報を取得して佇まいを変える装置である。例えば“月と火星が接近すると或る夜”にはわずかにゆっくり揺れ動き、“中秋の名月の日”には大きな形態の変化を見せ、またある時には何の変化も見せない。
— 外的要因から体の色形を変える動植物が存在するように、
天文現象に呼応して自らの佇まいを変化させ、夜空へいざなう —
それは便利で合理的なものでもなければ、一方的な情報の発信でもない。ただそこで、時の変化に揺られながら存在しているだけである。“空に想いを馳せる”、そんな心のゆとりを少しでも取り戻すきっかけとなることを願って。